背中から感じる「姥神大神宮渡御祭」と「江差」の粋

「とうちゃん」

2012年08月14日 05:57

 その起源は、370有余年前にもさかのぼると言われている。
 ニシン漁を終え、景気にわきかえる夏の江差で、豊漁に感謝を込めて行われる祭りであった。
 はるか遠い江差のニシン景気を現代に伝える夏の大祭。
 蝦夷地最古の祭りと言われる姥神大神宮渡御祭だ。







 二百年以上の歴史を有する神功山をはじめとし、武者人形、能楽人形、文楽人形、歌舞伎人形など
を配した豪華な13台の山車。

 吹き流しや錦の御旗をひるがえし、流暢な祇園囃子の調べにのって町内を練り歩く。
 この「祭り囃子」は、京都祇園祭の流れをくむものらしい。


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 山車の中には、博物館で飾られていて北海道指定文化財でもある「神功山」や「松寶丸」がある。





 「神功山」がもっとも古く、宝暦年間(1751年~1764年)に京都の人形問屋が納めたものらしい。
 博物館で飾られることなく、現役の山車の一つとして江差の町で生き続けている。






ヒノキ造りの弁財船「松寶丸」は、弘化2年(1845年)に大坂の船大工に依頼され作られた。
長年の使用から痛みが激しくなり、近年、地元保存会が1500万円の費用をかけて「松寶丸」
を修復した。

 戸数もわずかな町内会が1500万円の補修費を捻出すること。
 この祭りに寄せる江差の人々の思いを感じる。

 もちろん他の山車だって、それぞれ由緒があり、町内会の宝物となっている。





 祭りには、たくさんの江差っ子が参加している。



 江差の子供たちは、幼児のうちから山車に魅せられ、長い町内巡行に引き回され、「祭」をその魂
に染込ませていく。

 いつもとは雰囲気が違う大人の背中。
 この背中に憧れを抱いていくのだろう。
 唄う大人達の背中を見つめる子供の背中だって、なかなか魅せてくれるものがある。




 小中学生になると「笛吹き」や「太鼓打ち」を囃し立てながら。
 やがては山車が電線に引っかからないように棒で防ぐ「線取り」などが憧れの役目となる。






 そんな子供と山車を見守る背中が頼もしい江差町から、「とうちゃん」がお送りしました。
 

※ 本文の「姥神大神宮渡御祭」に関する記述は【江差町HP】を参考及び引用しています。


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