日本史とダイエットに与える「昆布」の底力

「とうちゃん」

2011年12月30日 09:28


国内生産量の95%が北海道から採取され、
日本人の食卓に欠かす事ができない「昆布」。



北海道の経済を支え続け、日本の歴史を変える原動力にもなった食材。
「昆布」の歴史は、あまりにも深く古い。

はっきりした記録は残されていないが、縄文時代から塩分補給の食料だったらしい。
蝦夷地の付近でしか採れない昆布は、貴重な産物として朝廷への献上品とされていた。
貢納された昆布は、縁起物としても尊ばれ、寺院では精進料理などに用いられ、茶菓子
としても用いられる。







鎌倉時代から、北海道と本州の間で「昆布」の交易がしばしば行われるようになる。
室町時代には「昆布」の乾燥技術が発達し、長期保存が可能となった。
戦国時代には、出陣、凱旋の儀式に不可欠のものとなると共に、
長期保存が出来るため、篭城用の食料として城内に保存された。

「昆布」の活用方法として、大阪城の石垣に用いられた巨岩を運ぶ際に、
地面に敷き詰めて滑りやすくして運搬したという逸話も残されている。


江戸時代以降は、北前船を使った海上交易が盛んに行われる。
北海道の松前から敦河や下関へ、瀬戸内海を通り大阪まで輸送される西廻り航路が開発された。
通称「昆布ロード」と呼ばれる海上航路だ。

現代においても「昆布ロード」寄港地の昆布消費量は多くなる統計資料もある。







「昆布」の産地は北海道だけど、昆布問屋や加工場は大阪周辺に集中している。
函館市弁天町にある厳島神社には「大阪昆布屋廻船○」の文字が刻まれた手水鉢が奉納され、
割れて機能していないが、神社の境内で風雪に耐え続けている。






「昆布ロード」は、江戸方面や九州、琉球王国、中国へと伸びていく。
特に1800年頃からの琉球王国は、中国と薩摩藩の交易の中継地として重要な役割を果たした。

そもそも、中国との「昆布交易」を行う前の薩摩藩には、莫大な借金があった。
薩摩の砂糖を大阪や下関で「昆布」に変え、これを琉球王国を通じて中国との交易品とする貿易が
盛んに行われた。
その結果、明治維新までの50年間に借金を返済し、大量の武器を購入できるほどの財力を蓄えた。

沖縄港の中心となる地には、広大な敷地を誇る「昆布座」があった。
薩摩藩奉行所と共に琉球支配の中心地とされていた。




【箱館戦争時に使用された大砲と砲手(嘘)】

極論だけど、

「昆布」が無ければ、大阪城の現在の位置と異なっていたかもしれない。
「昆布」が無ければ、明治維新が発生せずに西欧列強の植民地になっていたかもしれない。

「昆布」が非常に尊いものに感じてくる。




「昆布」の歴史も凄いけれど、食材としての「昆布」も非常に魅力的だ。

昆布のエネルギーは1食分で、たったの5kcal程度。
旨味があり腹も膨れるけれど、たったの5kcal程度。
まさにダイエット食材の王様と言えよう。



そのカロリーの少なさ反比例して、含まれる栄養分は特筆できる魅力に溢れている。

日本人が不足しがちな栄養素であるカルシウムが豊富に含まれる(牛乳の6.0倍程度)。
食物繊維だってタップリ含まれ、便秘がちな女性の美容に良い
昆布のヌルヌル成分には、水溶性食物繊維であるアルギン酸とフコイダンが含まれている。
甲状腺ホルモンの成分となるヨウ素の含有量も豊富。
ヨウ素は体や知能の発育を促進させる働きがあり、子供にとって非常に重要な栄養素

長期保存が容易で料理も欠かすことができない日本人の宝と言えよう。





「とうちゃん」が「昆布」について理解を深めることができたのも、
七飯町にある「昆布館」のおかげだ。




偉そうな事を言っているけど、昆布が好物になったのは、今年の春に「昆布館」を訪れてから。

北海道で普通に生活していて、昆布をそのまま食べる機会って「おせち料理」くらいじゃないですか。
あまり好きじゃないんだ、「昆布巻き」って。


そんな考え方が払拭される、魅力的な商品が「昆布館」では販売されている。








「きっと気に入る昆布商品があるから!」


好きじゃない商品は興味があっても、味が分からないと購入しないじゃないですか。

でも「昆布館」では、ほぼすべての商品の試食が可能であり、気に入った商品だけを購入することができる。
これほど試食が充実していると、必ず気に入る商品があるというか、美味しい「昆布」の商品が多くって、
今では、すっかり「昆布」の虜になっちゃった「とうちゃん」です。




様々な種類の「おぼろ昆布」食べ比べてみてください。
「昆布館」以外で昆布の種類による感じる事ができる機会は、そうそう無いよ。




必ず食べるのが「昆布ソフトクリーム」。
「昆布」って塩っけが多いから、甘い物が食べたくなるんだよね。
そんな理由で、きっと人気商品だと思うよ。

「昆布館」に行ったら、きっと「とうちゃん」の気持ち理解できるから。





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【参考】
「昆布の道」 北海道大学名誉教授 大石圭一著
「昆布館」 展示資料 

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