キュートな「ごっご様」に心奪われる函館の冬

「とうちゃん」

2012年02月16日 06:10





冬になると函館市のスーパーの鮮魚コーナーに現れる。
売り場の一角で、不思議なオーラを纏う近寄りがたいヤツ。


気にはなるけど、一歩を踏み出せないでいた「とうちゃん」。





「布袋魚」(ホテイウオ)、通称「ごっこ」

七福神の布袋様のように太って、ゆったりした衣をまとっている姿から名付けられた。
腹側には大きな吸盤がある。

産卵期は12月から翌年の4月くらいまで。
普段は水深100メートルほどのところにいるのが浅瀬に来て産卵し、産卵後はオスメスともに死んでしまう。
現在、関東では比較的よく見かけるものとなっているのは意外な話。

産地は、北海道、青森県、岩手県。
触って張りのあるもの。柔らかいもの、白っぽくなったものは古く、新しいものは吸盤が吸い付く。

【市場魚介類図鑑】参考




人生36年、一度も食べた事が無い魚。
「第22回恵山ごっごまつり」でデビューしようと思っていたのだけど・・・。

残念ながら参加できなかったので、近所のスーパーで598円で購入してきた。


あらためて見ると、目つきが怖い。
海中で出会ったら、思わず目をそらしてしまいそうなほど、眼力がある。
その体は、今までに体験した事が無いほどの「ぷるんぷるん感」。
グロテスクな魚は美味しいと言うけれど。






重さは1.7kgの柔らかい体は、包丁では切りにくいのでハサミを使用するのが良いと思う。

丁寧に肛門からハサミを入れていくと、皮のすぐ下には内蔵がビッチリと詰まっている。
手前から肝、左が卵、右が消化器で、いずれも食べられるところ。





卵の量が半端じゃない。
タマゴを包んでいる薄い膜は、手でひっぱると簡単に取れるので外しておく。
もちろん、この卵膜だって食べられる。

体の大きさに比べて小さいのは肝だ。
この肝が残念なくらいに美味しかった。






消化器を取り出して、内蔵の処理は完了。
布袋魚とは呼べないほどに、ペッちゃんこになった「ごっこ」。


函館市にある土産店で見かけた事がある「ごっこ」の人形とは、似ても似つかない・・・しかし!




変身!!


身のヌメリや臭みを消すために、お湯に通した「ごっこ様」
こんな可愛らしい魚、見た事が無い。

ヒレと言えばいいのかな、拳を握りしめている様な部分が特にキュート。






怖がっていた「息子」も、ようやく「ごっご様」と打ち解けた。

その後、食べやすい大きさより若干大きめにぶつ切りにした。
皮の下に詰め込まれたゼラチンっぽい何か厚さに驚いてみる。

どんな汁になっちゃうんだろう。







「ごっこ様」の柔らかいボディが煮崩れしないように、先に根菜類を煮込んでおいた。
完成する15分前に身を、5分前に肝と卵を、火を止めて自家製味噌を投入して完成!


淡白そうな身にも関わらず、結構な量のアクが出てくるので、丁寧に処理をしたいところ。





出来上がり!


プチプチした卵の食感、旨味が素晴らしい「ごっこ様汁」だ。
具にはサツマイモ、カボチャなど甘味が強い根菜を多めに入れていたため、甘めの仕上がり。
これに七味を効かせていただいた。


・・・汁は美味しいけど、肝心の「ごっこ様」にとって、もっと似合う味付けは別にある気がする。
ゼラチンの濃厚な旨味が汁の旨味を飲み込んでしまい、結局「ごっこ様」の一人勝ちになる。






次回は、酢豚っぽい「ごっこ」様チゲ鍋っぽい「ごっご」様に挑戦してみたい。
おそらく、汁よりもこちらの方が美味しく頂けるような気がする。


最後に消化器は、内容物を取り除いてから軽く茹でる。
酢醤油で味付けをして食べてみた。

「さすがは「ごっこ」様だ・・・・」というオマケの一品だった。





にほんブログ村

関連記事